発芽

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「まぁな」 雪は答えながら部屋をでていってしまった。 「返してくれよ?」 「嫌だと言ったら?」 巧は笑ったがそれ以上に悠は笑っている。 「『嫌だと言ったら?』だと?笑わせるな!」 巧はこの台詞に驚いた。 普通なら狼狽える所この女は勝ち誇った顔わしている。 「うつけめ!俺がそのYシャツで帰らなければ良いのだ!!」 確かに正論だったが、部屋にいた一同は口を開いたままになってしまった。 「と、言うことで烏丸サン。体代と言うことでなんか服ください」 「ぁ……うん。待ってて!可愛いの持ってくるからさ☆」 「マジ普通のでお願いします!」 悠の訴えが効いたか効かぬか修は黒地に銀の十字架がかかれたYシャツを持ってきた。 「綺麗……」 「気に入ってもらえた?」 「うん!ありがとう」 「礼なら和人に言ってくれよ。それは和人のだからさ♪」 そう言ってクィと親指で和人を指し示した。 「和人サン……あの、もらっても良いんですか?」 すると和人は満面の笑みで答えた。 「悠ちゃんにならあげるよ」 悠はなんだか恥ずかしくなって赤くなった顔で 「ありがとう」 と、和人の頬に軽く口付けをした。 「あー!!和人ズルイ!悠ちゃん俺にも~」 それを見た修が悠に口付けをねだってきた。 「駄目~俺だけだもん!」 和人が修から悠を引き離した。 「独り占めは駄目だよ」 引き離した先に巧が待ち構えていた。 悠を自分の手元に引き寄せる。 どうやら、巧も悠がお気に入りらしい。
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