発芽

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「あーそーぶなぁ!」 悠が叫ぶが誰一人聞き入れはしない。 「悠ちゃん返して~」 「俺も、ちゅう~」 和人と修が腕をのばす。 巧ごと悠を引っ張る。 すると当然ながら悠と巧の体が密着する。 「くっつくな!」 「だって2人がこうしろって仕向けるんだもん☆」 「だもん☆じゃない!巧、悠ちゃんから離れろよ!」 修が喚くが離れられないのは自身のせいもある。 「とりあえず全員離せ!!」 悠が肘テツやら裏拳で3人を散らした。 「悠ちゃん、いた~い」 ナヨナヨと座り込みながら修が色っぽく言った。 「やかましい!」 「悠……」 和人は殴られた頬を手で抑えている。 もっとも流れ弾なので大した威力はないのだが。 和人の瞳は涙で潤んでいた。 殴って泣かれては悠とて凹む。 「な、泣くなよ?」 心配そうに覗き込む。 「和人それはズルだぞ!」 巧が悠と和人の間に入って来た。 「うるさいからと思って来てみたら……みんな揃って何やってんのさ?」 呆れた口調で何処からいつ帰ってきたのか雪が言った。 「助けてください……」 悠が雪に向かって言った。 すると悠の体が宙に上がった。 雪が悠の体をヒョイと持ち上げていた。 「春、お気に入りだって悪戯しすぎは駄目だよ?」 悠を抱っこしながら雪は微笑んだ。
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