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…少女のお陰と言っても、直接話をした訳ではない。
一度、街の広場で見かけただけだ。
魔女が外出するのは珍しい。
しかも大荷物を1人で抱え、顔は見えなかったが、
周りの男達によれば美少女らしい。
でも、確かに分かったのは、黒髪ストレート。前髪もぱっつんで、
目の色は、紫か、青だった…と思う。
確かに、外見は魔女と言える。
でも、本当にあの美少女が、魔女なのか?
そんな疑問と、あの鋭い瞳。
あんな場所に1人でいる理由を私は知りたいんだ。
「はぁ…深い森って聞いてはいたけど、深すぎない?」
私は独り言を言ったつもりだった。
なのに。
なのに、次の瞬間、誰か分からない謎の声が聞こえた。
頭上から。
「…そうかしら。まだ中間地点にも辿り着かないわよ。本当にそれで私を探しに来たの?有り得ない少女ね。貴方14歳って聞いたけれど、本当?」
え。
誰?
私は誰とも一緒になんか来ていない。
第一、私と一緒に来ようとする人なんて存在しない。
「ちょっと、親切に私が話かけているのに、聞こえないフリ?」
「…え…?」
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