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5月に
やーーっとパリから帰ってきた
真由の最初の仕事は……
自分のウェディングドレスと関君のタキシード
「支払いはタケルだっしぃー
超豪華なの作っちゃおー」
「自分のでも金取るんだ…」
ユウが呆れてた
地味で控え目
………という噂の彼女は
この方です
戦いを挑むのは
ご遠慮下さい
「俺…主賓の挨拶ヤダナー」
白いネクタイを結びながらユウが呟く
「社長さんだもん
名誉なことじゃん?」
鏡の脇にお邪魔して
襦袢の衿を引き
形を整える
「きゃっ!」
ユウが後ろから抱きついてきた
「ちょ……っと……ぉ……」
「うぉーー!
刺激的ぃ~~
アレェ~~お殿様ぁ~……
……みたいなのって
男のロマンじゃん?」
両手を挙げてクルクル回る
ちょっと、離れてよ……
着物踏んでるから~~
いつも通りに
視界から外し
鏡と向き合い帯を締める
「ハル~聞いてる?」
もちろん聞いてません
「遅刻しちゃうよ?」
ユウの話は無視
「ハル…?……帰ったらやろうね!」
んな……時代劇ごっこに付き合いたくない
コッソリ
二次会用のワンピースを隠し持った
せっかくの結婚式……
ユウのせいで
濁った気分になってしまった
帰るのやだなー
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