あまのじゃく

4/4

26人が本棚に入れています
本棚に追加
/37ページ
『今俺様が何処に居るか分かる?』 「家だろうが」 先に帰ったくせに何を言ってやがる。 そう文句を言いたくなる。 しかし、それはオレの思い込みだったらしい。 携帯の向こうから 『いやいや、折角のこんな機会この俺様が逃すわけないじゃん』 と聞こえてきた。 「………じゃあ何処だよ」 「さぁ、何処でしょ~」 オレが問い返すと、今度は携帯からでなく真後ろから声が聞こえてきた。 一瞬、反応が遅れる。 そのため、相手の顔を見る前に目の前が暗くなった。 ……急に抱き寄せられ、顔が胸の辺りに当たったのだ。 「……!!」 驚きにより声が出ない。 だが、恐怖心はない。 こんな事をするのは先程から話していたアイツしかいないからだ。 「ほんと、久しぶり……♪」 そのまま強く、だが苦しくはない程度にぎゅうっと抱きしめられる。 その相手が自分より背が高く、抱きしめられていて暖かみを感じるせいか、自分の鼓動が段々とうるさくなっていく。 「……Long time no see.」 あぁやはり、この暖かさは心地いい。 桜の散る様以上にコイツの暖かさは…… 「……嫌いじゃない」 終
/37ページ

最初のコメントを投稿しよう!

26人が本棚に入れています
本棚に追加