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「嘘、でしょ……?」
俺様に悲劇が伝えられたのは約2ヶ月前、高校を出てからの新しい生活にようやく慣れて来た頃の事だった。
「……そんな……ありえない」
「事実だ」
その日は、珍しい客が来ていた。
敢えて無表情を作ろうとしていたその人の顔は、いつも以上に感情的になっているようにも見えた。
その隠しきれていない悔しさや悲しみが入り混じった顔は、俺様に本当にその事件が事実であると受け入れさせるかのようだった。
「……………」
「……葬儀は明後日だ。出る気があれば屋敷に来い」
来なくても構わねぇ、と付け足して、その人――片倉小十郎は立ち去った。
俺様はただ、立ち尽くすだけだった。
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