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そんなこんなで、現在に至るのだ。
此処は風来坊の前世の時の記憶で、風来坊が好きだったというある女性と再会出来た場所なのだそうだ。
神話の世界にも冥界と繋がっていた場所として出てくるらしい。
一応、小さな鳥居をくぐり、何やら大きくて不気味な岩の前で、二礼二拍手をして適当に祈る。
それが終わると一礼して、すぐさま踵をかえしてその場から離れた。
……やはり、馬鹿らしくなってきた。
そもそも、こんなにも簡単に逢えるのなら、誰もが皆やっている。
風来坊の言うことを信じたあの時の自分はどうかしていた。
「ばっかみたい」
そう、自分への嘲りを口にする。
その瞬間、ふわっ……と何やらあたたかく、不思議な感じがする風が通り抜けた。
舞い上がる塵から守ろうと目を閉じるが、特に何かが顔に当たるというわけでもなかったので、恐る恐る目を開ける。
すると、いつの間にかそこには青い光を纏ったヒトが立っていた。
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