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委員会がおわり、二年の教室に帰ってみると、残り数人の中に一人、俯いている人物を発見した。
クラスの担任がたまに声をかけるのだが、いっこうに起きる気配はない。
「伊達の旦那ー……」
廊下から小さく声をかけてみるが、届くはずもなく、当の本人は机に突っ伏している。
「もう……」
本当に困った人だ。
「失礼しまーす」
教室に入ってすぐ、寝ている政宗の元へ向かう。
「起きなよ」
政宗の横にしゃがんで声をかける。
が、反応がない。
結構深い眠りについているようだ。
こうなったらあれか、王子様のキス。
そんなことを考えてみたが、この人数と担任の先生の前で見つからずにやってのける自信はなかったし、何より政宗が怖いのでやめておく事にした。
そのかわり、口元に手を添え、政宗の耳に近づける。
「政宗、起きて」
「……ん………さ、すけ………?」
政宗は目が覚めたようで、ゆっくりと顔を上げ、寝起きの掠れた声で俺様の名前を呼んだ。
周りは少しざわついていたから、政宗の小さな声は聞こえてはいなかっただろう。
俺様は政宗を抱きしめようと動こうとする腕を必死で止めながら続ける。
「採点、終わったみたいだよ?」
そう言うと、政宗は顔を前に向け、あぁ……と呟き、立ち上がった。
担任の先生は「合格」と言って政宗にプリントを渡した。
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