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今日は学園祭……
やはりいつもとは違う盛り上がりを見せている婆沙羅学園。
俺様はクラスの出し物での役割を終えたので、一人で学園内を回ってみる事にした。
あわよくば学園新聞のネタになりそうな写真を撮ろうと思いながら。
「屋台、劇、歌合戦……どれも何かイマイチなんだよなー……」
グラウンドと南舎と体育館を見に行ってみたが、めぼしいものはない。
やっぱ仮装大会の参加者にインタビューか……
そんな考え事をしながら歩いていたら、前から歩いて来た人にぶつかってしまった。
相手はその拍子に転んでしまったようだった。
「わっ!ごめん、大丈――」
言いかけた俺様の目の前には、何やら見たことのある人が。
「っ~~~」
ご丁寧にメイド服のひらひらスカートの裾がめくれないようにしつつ、しりもちをついているその人は、俺様が知る限りでは男子だった。
つい、首にかけているカメラに手が動く。
「撮ったらそのcamera壊すぞ」
その人は持っていた看板でこちらを指しながら宣言した。
もちろん、それをうけて俺様はカメラから手を離す。
片目の野球部エースとして知られるこの人ならば、こんなカメラを壊す事など造作もない事だろう。
「りょーかい、でも何でそんな格好してるの?」
ただの興味で聞いたのだが、何やら地雷を踏んだらしく、その人……伊達政宗はひどく不機嫌そうに眉をひそめた。
「ゴメンナサイ」
先に謝っておく。
すると意外な事に、
「別に怒ってねぇよ」
と言われ、ついでに手を引かれた。
「ついて来い」
「え?」
「見た方が早ぇっての」
そう言って政宗は手を握ったまま、ツカツカと歩きはじめた。
歩くたびヒラヒラと上下しつつ、中は見せてはくれないスカート。
そして、俺様にとってはスッゴく可愛いメイドさんと手を繋いでお店に向かう……なかなかに幸せだ。
そんな時を過ごしつつ、俺様と政宗は足早にメイド喫茶、2-Bの教室に向かった。
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