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いつかアンタは言ったよな。
俺様とあんたは月と太陽だって。
急にどうした、よくわからないと伝えると、つまり表裏一体……
陰と陽の存在なのだと苦笑した。
オレもアンタと同じように小難しい事を考えるのは嫌いじゃなかったから、そのまま二人で小一時間程語り合ったな。
……結局ちゃんとした答えが出たわけじゃなかったけど。
昔で言えば、オレの存在は陽、アンタの存在は陰で、今は人気者のアンタは陽、なりを潜めてるオレは陰。
他にも髪色とか、性格や好み……
全てが上手い具合に対極に位置しているオレ達は、互いが最も遠く、また最も近い所に居る矛盾した存在だと言って二人で笑ってた。
なぁ……
何であの時片方が死んだら、なんて話したんだよ。
予感していたとでも言うのか?
片方が消えたならもう片方は存在し続けるなんて質(タチ)の悪い、笑えねぇjokeだ。
アンタはわかってたはずなのになんで……
なんでオレを置いていったんだ。
なあ、答えろよ……
また、いつもの軽い口調でゴメンって言えば許してやるから。
いつだったか、アイツが自分のお気に入りだと自慢していた、オレもなかなかcoolだと思っていた衣装の袖を握ると、何か、水滴がオレが纏っている黒い衣装の袖を余計に黒くした。
同時に、オレの独白を聴いていたのか、暖かい風が髪を撫で、濡れた頬を包んでいった気がした。
終
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