謎々

2/2

26人が本棚に入れています
本棚に追加
/37ページ
こっちからは見えていて そっちからは見えてないものってなーんだ。 今あんたの目の前で 横たわっているものはなーんだ。 その横で あんたを見てるのはだーれだ。 どこの誰よりも あんたのことが好きなのはだーれだ。 あんたを残していくのが 誰よりも悔しいのはだーれだ。 ねぇ、答えてよ。 こっちを見てよ。 何で気づいてくれないのさ。 時に稀に 俺様にだけ見せてくれたものはなーんだ。 俺様の目の前でまた、 綺麗なそれを見せてる人はだーれだ。 他の誰にも見られないうちに 俺様が拭い去りたいものはなーんだ。 たった今 俺様が一番抱きしめたい人はだーれだ。 俺様にとって この世で誰よりも愛しい人はだーれだ。 この世……と言っても もう狭間に居る俺様には 実感がなかったりするんだけどさ。 それでも どこの世に住んでる 誰よりも好きだって自信はあるよ。 だから…… お願いだから泣かないで。 泣いてる顔も綺麗だけど、 やっぱり笑ってて欲しいから。 「ごめんね、まさむね」 その言葉と一緒にそっと黒髪に触れ 頬に伝う雫を拭い去ってやる。 すると こちらに気づいたのか何なのか 初めてこちらを振り向いてくれた。 更には無意識なのだろうが 口元を小さく "さすけ" と 動かしてくれたような気がした。 終
/37ページ

最初のコメントを投稿しよう!

26人が本棚に入れています
本棚に追加