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お、意外。
伊達の旦那が押し黙るとは。
珍しくこちらの口車にのせられてくれた。
「……いいよね?」
「やっぱむ―――」
伊達の旦那が言い終わる前に無理矢理壁に押し付け、口を塞ぎ、すぐに離す。
最初は何が起きたのか分からなかったようで驚いた顔をしていたが、そのうち唇に残る感覚に気づいたようでかぁぁと顔を赤らめた。
……もしかして、耳まで真っ赤なんじゃない?
「な……にすんだよ!!」
「何って、キス」
「平然と答えてんじゃねぇッ!」
「伊達の旦那顔真っ赤」
「っ~~~」
「かーわい♪」
ちゅっと先程より軽いキスをして、「だーんな♪」と呼んで近づこうとすると当の本人から「No」と拒絶された。
「……なんでさ、まだ駄目なわけ?」
少しイライラしているような口調になってしまった。
だが、相手は少しも怯まず、しかも俺様の予想とは違う言葉を発した。
「……政宗だ」
「……は?」
「だから、政宗だって言ってんだよ」
「何が?」
「分かれよ……」
「……あー、うん。分かった、つまり」
伊達の旦那を引き寄せ、柔らかく抱きしめる。さっきから軽いものだからと、さほど恥じらいもせずキスしていたが、これは結構恥ずかしいかもしれない。
少し身を任せるようにして、伊達の旦那の耳のすぐ横に自分の唇を添える。
「……政宗……好きだよ」
終
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