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「じゃあ……目、つむっててくれる?」
俺様はその手に自分の手を添えてから言う。
政宗は一瞬眉をひそめたが、了解してくれたようで、左目を閉じる。
もちろん、こうなったら口づけるのは手ではなく……
「……ッ!?」
政宗が声にならない声を上げる。
もちろん、赤面しながら。
「スキあり♪」
俺様はニッコリと――きっと政宗からは意地悪な笑みに見えただろう――微笑んでそう言ってやった。
「……っ~~~」
政宗は赤面したままこちら睨みつける。
俺様に出し抜かれて少し悔しいのだろう。
だが、怖さは微塵も感じない。
というか、するのは大丈夫なのにされるのはダメなのか。
「……かわいっ」
つい、抱き着きそうになるのを、政宗が先程より強い眼光で睨んでいた(頬が赤いのは治っていなかったが)ので、やめておく。
「次、何かしたら……」
「はいはい、わかってますよー」
政宗は睨んだまま、開口一番これだ。
さっき抱き着いていたらどうなってた事やら。
「それにしてもさ」
政宗の機嫌を取り戻そうと、話題を変える。
政宗はまだ怒っていたようだったが、返事を返してくれた。
「んだよ」
「政宗みたいに可愛くて料理も上手なお嫁さんがいたらさ、俺様毎日幸せいっぱいかも」「っ……急に何言ってやがる」
「あ、思い付きで喋っただけだから気にしないで」
「…………そうかよ」
ほら、また赤面したりちょっぴり拗ねたり。
俺様の言葉次第で色んな表情見せてくれるから、ついからかいたくなる。
もちろん、さっきの言葉の全てが、ただからかっただけの冗談というわけではないが。
「政宗」
「今度は何だよ」
「大好き♪」
「…………オレも」
「なに?」
「っ……オレも……好き、だ」
「ふふ、もう知ってる」
あぁ、もう、ほんと、政宗って可愛いんだから。
終
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