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「葵ー!帰ろ!」
そう言って私のクラスの入り口から大声で叫ぶ彼女。名前は伊藤 季楽々(イトウ キララ)。
すごい名前だ。と付き合いの長い私でも思う。
「了解したぁ!!ちょっと待っててー」
そう言いながら私は荷物を急いでまとめて季楽々のもとへ走った。
「おお?なんだなんだぁ!?」
私達が並んで歩いていると、なにやら騒がしい。
近くにいた友達に聞くと、どうやらこの学校ーのモテ男。堺 連がいるらしい。
馬鹿らしい。何がイケメンだ。
私は、ただ顔だけで女子にきゃーきゃーいわれて喜んでいるこいつが大嫌いだ。
「見たい!!見たいよ葵!!よーし!!突っ込むぞー!」
そう言いながら季楽々はたくさんの女の子の群れに突っ込んでいった。
私は何故あの男がいいのか理解できない。
生理的に無理です。
「季楽々~…。しょうがない。帰るかぁ。」
完全に取り残された私は1人で帰ることにした。
「はあ。どこがいいのか本当に理解できないわ。」
さっきの騒ぎに巻き込まれながら、私はやっと靴を履き替え学校を出た。
人通りの少ない道をふらふらと歩く。
高校生になったら、彼氏とか作って高校生活エンジョイする予定だったのにな・・・。
ため息をはきながら、私は家路についた。
「ただいまー。」
無気力な声でそう言い、階段を上って自分の部屋に行く。
部屋でぼけっとテレビを眺めていると、1階からお母さんの声がした。
部屋を開け、用件を聞くと、どうやら話があるという。
階段を下りてリビングにつくと既に両親と姉の凪がいた。
「どうしたの?こんな改まってー!なになに!!お小遣い!?」
「いいから黙って座りなさい。」
お父さんにそう促されてソファーに座る。
何故かお母さんとお姉ちゃんは俯いていて表情が見えなかった。
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