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鈴透(リンドウ)は太ももに生温かい物が当たっているのを感じ、目蓋を開いた。 「う……ん……?」 「おはよう、鈴ちゃん」   無駄に大きすぎるベッドの上には、最近鈴透の執事になったばかりの月影がいた。 月影は鈴透の着ている薄いパジャマの隙間から手を這わし、鈴透の頬に口付けを落とした。 「きっ……きゃああああああああああああああっ! どこ触ってんのよ!」 鈴透は月影の腹を思い切り蹴り飛ばし、ベッドから突き落とした。 「あんたっ! ほんと、いい加減にしなさいよ!」 月影はまだ寝ぼけているようで、不思議そうに顔を傾けた。 鈴透は髮をぐしゃぐしゃとかきむしりながら、心の底から後悔していた。 嗚呼、やっぱり、執事もお屋敷もいらないから遺産だけ欲しかった。
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