第2章

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夜明けの森のジータ15 「ジータはダメだ。おれはジータに惚れてるんだ。お前にはエバがいるじゃないか。おれの母親のエバをたぶらかして、一緒に住んでるんだろう」 「エバにはもう飽き飽きしたんだ。もっと若い女がいい」 「そうだ!メイドのモエがいる。彼女をお前の所へ行かせよう」 「いいだろう」 「交渉成立だな。天使を殺害する方法を教えてくれ」 「わかったぜ。おれに任せておけ。明日、会おう」 サタンはにやりとして言った。 サタンが帰ると、ジータはおれに言った。 「サタンは信用出来るのかい?」 「信用するしか方法はない。長い付き合いだから、裏切ったりはしないだろう」 「カイン、さっき言ったことは本当かい?」 「お前に惚れているってことか?」 「ああ」 「本当だ。おれはジータが好きだ」 夜明けの森のジータ16 ジータは顔を赤くして言った。 「黒ヤギのカイン、引越しの準備があるから、今日は帰るね」 「ああ。気をつけてな。黒い森にいる豹の顔をした男がうろついているらしいから」 「カイン、わかったよ」 ジータは杖に乗って帰って行った。 明日はジータがいない方が都合がいい。 おれとサタンが天使をつかまえて、なぶり殺しにしている所を、ジータには見られたくなかったのだ。 翌朝サタンは約束通りやって来た。 「カイン、屋根にちょいとしたしかけをして来る。見えない蜘蛛の糸を張り巡らして、天使を生け捕りにしてやろうぜ」 悪魔サタンはそう言うと、屋根へ上がった。 サタンは恐ろしく悪知恵が働くやつだった。 エバがたぶらかされるのもしかたあるまい。 しばらくすると、東の空から太陽を背にして、天使の警務隊が二人、弓矢を手に持って飛んで来た。
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