第2章

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夜明けの森のジータ17 おれとサタンが見ていると、二人の天使は屋根にぶつかって、大きな音を立てると、地面に落下して気を失った。 「カイン、約束は果たしたぜ。あとはお前の好きなようにするがいいぜ。約束通りモエはいただいていくぜ」 「いいとも」 悪魔サタンはモエと共に、おれの前から姿を消した。 おれは二人の天使をロープで縛り上げると、飛べないように羽根をハサミで切り落とした。 カインのしるしを消すためには、子供の天使の羽根でなくてはいけない。 おれは天使の羽根を天井にぶら下げた。 うちわがわりに使おうと言うのだ。 天使の羽根はバタバタと動き、涼しい風を送って来た。 おれは天使の警務隊を拷問することにした。 まず真っ赤に焼けた鉄のコテを額に押し付けてやった。 じゅうじゅうと焼ける音がした。 「さあ、言うんだ。子供の天使はどこにいるんだ!」 夜明けの森のジータ18 天使の警務隊員の悲鳴が上がった。 だが二人は口を割らなかった。 おれは二人の尻を、フライパンで思い切り叩いた。 何度も叩くうちに、尻は赤くはれ、血がにじんで来た。 だが二人は口を割らなかった。 警務隊で拷問に耐える訓練をしているに違いない。 おれはとうとう逆上して言った。 「そうやって、いつまでも強情を張っていると、命の保障はないぜ」 おれは二人の指をテーブルに押し付けると、金づちで一本一本叩きつぶしてやった。 さすがにこれはこたえたらしく、一人の天使が言った。 「言うから待ってくれ。子供の天使はエホバ神の宮殿にいる」 「エデンの園ではないのか?」 「大人の天使はエデンの園で暮らしているが、子供の天使は、天にまします我等の神のそばにいて、教育を受けているんだ」 「なるほど!わかったよ。ありがとう。お前らにもう用はない」 おれは二人を暖炉に押し込むと、火をつけて生きたまま殺した。 天使のバーベキューの出来上がりだ。
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