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夜明けの森のジータ1
ある日、おれに手紙が来ていた。
それは夜明けの森に住む、女魔法使いのジータからだった。
ずいぶん久しぶりだった。
ジータの手紙には次のように書かれていた。
【親愛なる黒ヤギのカインへお前がエデンの園を追放されて、ずいぶんと時が流れたね。元気にしてるかい?お前に殺されかかった白ヤギのアベルは、やっと傷も治り、白ヤギ図書館の館長をしてるよ。久しぶりに二人で会いに行って見ないか?アベルとカインが仲直りをするのを見たいのさ。もし行きたいなら、明日エデンの園の入口で待ってるからね】
夜明けの森のジータ2
おれは絶好の機会が来たと思った。
この間は白ヤギのアベルを殺しそこなったが、今度こそ殺してやる。
おれがエデンの園から追放される羽目になったのは、エホバ神が不公平だったからだ。
おれはエホバ神に、最上の小麦を捧げた。
するとアベルはヤギの乳を捧げた。
エホバ神はアベルの捧げたヤギの乳を祝福され、おれの小麦は火で焼きつくされた。
おれが極上のぶどうを捧げると、アベルは仔牛を捧げた。
またしてもエホバ神は仔牛を祝福された。
生後20ヶ月を過ぎていて、BSEかも知れない仔牛を祝福して、おれのぶどうは踏み潰されてしまったのだ。
どう見ても不公平だと思った。
怒りと殺意が沸き起こって来た。
おれはアベルを呼びだし、殺害しようとした。
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