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夜明けの森のジータ3
おれはアベルを殺害することにした。
おれとアベルは双子なのに、アベルの色は白くて、おれの色は黒いのが不満だー!
ある日、おれはアベルを呼び出した。
今まで食べたことのない、うまい物を食べさせてやると言った。
畑のそばの作業小屋で、おれは小麦粉を練ってうどんを作った。
まもなく白ヤギのアベルがやって来た。
「黒ヤギのカイン、うまい物とは何だ?」
おれはうどんを出した。
アベルがうまそうに食べている時、おれは後ろからアベルの頭を羊の足の骨で、思い切りぶんなぐってやった。
羊の骨は、きのうアベルの白ヤギ牧場から羊を盗んで、それを殺して作ったものだ。
アベルが前のめりに倒れると、おれはアベルをかついで崖のそばへ行き、そこから下へ投げ落とした。
夜明けの森のジータ4
翌日、早くもエデンの園の天使の警務隊が、おれの家にやって来た。
警務隊長が言った。
「黒ヤギのカイン、アベルをなぐったのはお前だな。お前は日頃からアベルをうらんでいただろう」
「警務隊長、おれは知りませんぜ」
「アベルがお前の作業小屋へ行ったことはわかってる。白い毛がそこらじゅうに落ちていた。一つおかしなことがある。白ヤギのアベルは白い糸のような物をくわえていた」
「アベルは死んだのですか?」
「幸い一命は取り留めた。だが頭をなぐられたせいで、記憶喪失になっている」
結局おれは、アベルをなぐった犯人として、エデンの園を追い出された。
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