0人が本棚に入れています
本棚に追加
夜明けの森のジータ5
おれはジータとの待ち合わせ場所へ行った。
エデンの園の入口では、燃える剣が回転していて、おれが入るのを阻止していた。
おまけに天使の兵士が二人見張りに立っていた。
おれはそんなに危険なのかよ!
やがてジータが、黒いマント姿で、杖を片手に持って現れた。
「黒ヤギのカイン、用意はいいかい?」
ジータが尋ねた。
「ちょっと待ってくれ」
おれは自分の畑でとれたトマトを袋から取り出すと、回転する剣に向かって、次々に投げつけてやった。
トマトはきれいにスライスされて、おれの手の上に落ちて来た。
「腹ごしらえをして行こうぜ」
おれはスライストマトをジータに与えた。
夜明けの森のジータ6
焼けたスライストマトなんか、まずくて食えないだろうと思った人もいるかも知れない。
安心してくれ。
ジータの魔法で、手の中のトマトは瞬間冷凍されているんだ。
魔法使いは元来がおせっかいなんだ。
おれが頼みもしないのに、アベルと仲直りしろと言って来た。
おれは今度こそ、確実にアベルを殺害するつもりだった。
そのためのとっておきの方法を考えておいた。
「カイン、早く後ろへお乗り」
ジータは杖にまたがると、おれに言った。
おれは杖にまたがると、ジータの体にしがみついた。
柔らかな感触のジータの体にしがみついていると、ジータが言った。
「カイン、どこを触ってるんだよ。そこは乳房だよ」
道理で柔らかいと思った。
最初のコメントを投稿しよう!