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夜明けの森のジータ7
「ジータ、悪い、悪い。黒いマントでわからなかったんだ」
確信犯のおれは舌をペロリと出した。
ジータとおれの乗った杖は、ふわりと空中へ浮いた。
エデンの園の上空は飛行禁止エリアになっていたので、少し遠回りになるが、エデンの園を迂回して飛び続けた。
まもなくジータの住んでいる夜明けの森が見えて来た。
おれ達は、その上空を飛行して、アベルの白ヤギ牧場の中にある、白ヤギ図書館の前に着地した。
白ヤギのアベルは館長室にいた。
「ジータと黒ヤギのカイン、今日は何の用だね?」
アベルは白くて長いあごひげをなでながら言った。
夜明けの森のジータ8
「白ヤギのアベル、私はお前と黒ヤギのカインとを仲直りをさせようと思ってるんだ」
「そうかい。私とカインとの間に何かあったのかい?」
「アベル、お前は何も覚えていないのかい?」
「ああ。誰かに頭を殴られたらしく、気がついたらエデンの園ホスピタルの病室にいたんだ」
おれはアベルの様子を見て安心した。
おれに羊の骨で殴られたことは覚えていないらしい。
「ジータ、アベルをそっとしておこうぜ。あまり頭を使わせると、体に良くないぜ。おれは図書館を見てくる」
おれは館長室を出ると、図書室へ向かった。
おれは本棚を見るふりをしながら、1冊の有害図書を本棚へ隠した。
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