第1章

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夜明けの森のジータ7 「ジータ、悪い、悪い。黒いマントでわからなかったんだ」 確信犯のおれは舌をペロリと出した。 ジータとおれの乗った杖は、ふわりと空中へ浮いた。 エデンの園の上空は飛行禁止エリアになっていたので、少し遠回りになるが、エデンの園を迂回して飛び続けた。 まもなくジータの住んでいる夜明けの森が見えて来た。 おれ達は、その上空を飛行して、アベルの白ヤギ牧場の中にある、白ヤギ図書館の前に着地した。 白ヤギのアベルは館長室にいた。 「ジータと黒ヤギのカイン、今日は何の用だね?」 アベルは白くて長いあごひげをなでながら言った。 夜明けの森のジータ8 「白ヤギのアベル、私はお前と黒ヤギのカインとを仲直りをさせようと思ってるんだ」 「そうかい。私とカインとの間に何かあったのかい?」 「アベル、お前は何も覚えていないのかい?」 「ああ。誰かに頭を殴られたらしく、気がついたらエデンの園ホスピタルの病室にいたんだ」 おれはアベルの様子を見て安心した。 おれに羊の骨で殴られたことは覚えていないらしい。 「ジータ、アベルをそっとしておこうぜ。あまり頭を使わせると、体に良くないぜ。おれは図書館を見てくる」 おれは館長室を出ると、図書室へ向かった。 おれは本棚を見るふりをしながら、1冊の有害図書を本棚へ隠した。
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