第2章

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夜明けの森のジータ11 「予言者イザヤ、何の用だ?」 おれはメイドのモエをさがらせると、イザヤに尋ねた。 エデンの園には二つの警察組織がある。 天使の警務隊と予言者の公安警察である。 天使の警務隊の中には、悪魔サタンのような堕天使もいるから、あまり恐くはないが、予言者の公安警察は恐ろしい。 予言者は何もかもお見通しなんだ! おまけにおれの身の上に災いをもたらす力を持っているからだ。 「黒ヤギのカイン、アベルを殺害したのはお前だな」 「おれじゃないぜ。おれは何も知らない」 「天使の警務隊は騙せても、私は騙せないぞ」 おれは震え上がった。 「何を証拠に、そんなことを言うんだ」 「お前が殺人者であるしるしが、明日お前の額に現れるだろう。そのしるしは一生おまえから無くなることはない」 予言者イザヤはそう言うと、霧のように姿を消した。 翌朝、目が覚めたおれは、額に違和感を覚え、鏡の前に立った。 「ウオー!」 おれは絶望的な叫びを上げた。 額の黒い毛の間から、カインのしるしである、ピンク色の二つの乳首が顔をのぞかせていた。 夜明けの森のジータ12 おれはカインのしるしを消そうと、あらゆる手段を試みたが、成功しなかった。 ピンク色の乳首を二つもつけたままでは、外も歩けない。 おれは黒ヤギの毛で、目出し帽を作ってかぶった。 これならとりあえずはごまかせる。 おれは夜明けの森のジータに連絡をした。 まもなくジータが杖に乗ってやって来た。 「黒ヤギのカイン、何の用だね?」 ジータは黒いマントを脱ぐと言った。 ジータはやはりナイスバディだった。 「ジータ、お前の魔法でカインのしるしを消してくれ」 おれは目出し帽を取った。 ジータはくすくすと笑った。 「カイン、これはどうしたんだい?」 「説明はあとからするよ。とにかくこのしるしを無くしてくれ」
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