0人が本棚に入れています
本棚に追加
夜明けの森のジータ11
「予言者イザヤ、何の用だ?」
おれはメイドのモエをさがらせると、イザヤに尋ねた。
エデンの園には二つの警察組織がある。
天使の警務隊と予言者の公安警察である。
天使の警務隊の中には、悪魔サタンのような堕天使もいるから、あまり恐くはないが、予言者の公安警察は恐ろしい。
予言者は何もかもお見通しなんだ!
おまけにおれの身の上に災いをもたらす力を持っているからだ。
「黒ヤギのカイン、アベルを殺害したのはお前だな」
「おれじゃないぜ。おれは何も知らない」
「天使の警務隊は騙せても、私は騙せないぞ」
おれは震え上がった。
「何を証拠に、そんなことを言うんだ」
「お前が殺人者であるしるしが、明日お前の額に現れるだろう。そのしるしは一生おまえから無くなることはない」
予言者イザヤはそう言うと、霧のように姿を消した。
翌朝、目が覚めたおれは、額に違和感を覚え、鏡の前に立った。
「ウオー!」
おれは絶望的な叫びを上げた。
額の黒い毛の間から、カインのしるしである、ピンク色の二つの乳首が顔をのぞかせていた。
夜明けの森のジータ12
おれはカインのしるしを消そうと、あらゆる手段を試みたが、成功しなかった。
ピンク色の乳首を二つもつけたままでは、外も歩けない。
おれは黒ヤギの毛で、目出し帽を作ってかぶった。
これならとりあえずはごまかせる。
おれは夜明けの森のジータに連絡をした。
まもなくジータが杖に乗ってやって来た。
「黒ヤギのカイン、何の用だね?」
ジータは黒いマントを脱ぐと言った。
ジータはやはりナイスバディだった。
「ジータ、お前の魔法でカインのしるしを消してくれ」
おれは目出し帽を取った。
ジータはくすくすと笑った。
「カイン、これはどうしたんだい?」
「説明はあとからするよ。とにかくこのしるしを無くしてくれ」
最初のコメントを投稿しよう!