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「駒五井ってさ、結構美人じゃん?」
いや知らないし。
「だからさ、お近づきになっておこうと思ってさ、一学期からちょくちょく話し掛けるようにしてたんだよ。そしたらさ」
多摩平はそう言って左の手の平を僕に見せてきた。
「この跡、なんだか分かるか?」
手の平の調度中指と薬指の中間辺りに五ミリ程度の黒いシミみたいな跡があった。
「シャーペンが貫通した跡」
…………は?
「言ったまんまだよ。一年の時に俺あいつにシャーペン突き刺されたんだ」
「……シャーペンって、あのシャーペン?」
「他に何があるんだよ……。あの鉛筆よりも太い太いシャーペンだよ」
シャーペンが、手を、貫通し、た……?
「それホントに?」
「何で嘘の傷見せ付けたりして冗談言わなきゃいけねーんだよ」
それはそうだよな。
「全治いくらだった?」
「傷が完璧に塞がるのに二週間。完全に動かせるまでもう三週間かかった。今でも違和感あるぜ」
手をグーパーして主張する多摩平。
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