駒五井弥生

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「河井江。購買行こうぜ」 「あ、うん」 こんな僕にも友達は出来たみたいだった。『多摩平蓬(たまだいらよもぎ)』。 あだ名はヨモ。たまにタマタマなんて呼ばれ方もされている。気さくな奴で、まあ一言で彼を言い表すのなら誰とでも分け隔てなく話せる良い奴、一人を除いて。 多摩平とは初日に仲良くなった。 まあ当たり前か。 彼の性格からしたら、僕から話し掛ければ絶対に親しみを込めて話し返してくれる筈だから。 購買と言っても平均的な公立高校の売店なんてモノは、帰路中の潰れかけの駄菓子屋よりも小さく、品揃えだって必要最低限しか置いていない。 取り分け安いと言う訳でも無いし、近所にコンビニがあったならば僕は迷わずそちらに通い詰めるだろう。 他人の家庭環境をどうこう言う資格は僕には無いが、どうやらこの高校ではお弁当を作ってくれる家庭は少ないみたいだ。
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