駒五井弥生

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いつも来るお弁当屋さんの前には、終了チャイム二分前にも関わらず、少なくとも十数人の人が並んでいた。 「お前いつもそれ買ってるよな」 多摩平は僕が手にした『卵かけ丼』を指差して苦笑い気味に話してきた。 かく言う彼の方も『アメりんご茶』を毎日買っていることを僕は言及しない。 「子供の頃から好きなんだよ、卵かけご飯。なんかそれに似てるからつい」 「でもそれってどちらかと言えば親子丼じゃね?」 「……まあそうかな」 僕の答えに彼はくっくっく、と独特な笑い方で答えてくれた。 はは。 「なあ河井江。昨日の話の続きなんだけどさ……」 昨日の話の続き……。確か多摩平が誰かを好きでその手助けをして欲しいとか邪魔しないで欲しいとか何とか。 して、その好きな人とは一体誰であったか。
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