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「駒五井弥生?」
「知ってるだろ?お前の隣の席でいっつも寝てる奴」
皮肉たっぷりに呟く多摩平。そりゃ知っているとも。転校初日からずっと眠った姿しか見ていない。
机に突っ伏した駒五井の艶やかな黒髪が耳元からうなじを覆い隠す様に机に垂れ下がっている、そんな姿をもう何十回と見てきた。
「駒五井さんがなんだって?」
「だからあいつはやめとけって話」
「どうして?」
すると多摩平はばつの悪そうな顔になった。
「その、なんだ。近寄らない方が身のためだぜって話」
「よく分からないんだけど……」
多摩平はあからさまに何かと葛藤しているような表情を見せはじめる。
苦痛と苦痛を練り混ぜたような最悪のブレンドを顔面に貼付けた多摩平、遂に踏ん切りが付いたのか話しはじめた。
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