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身に纏っている黒いコートの裾がたなびく。
植物人間の背から飛び出したムチが鋭く突いてきた。それを首を少し傾けることで、紙一重で避けるとそのまま相手の懐へと突っ込んでいく。
「グルアァ!」
植物人間から再び新たなムチが飛び出してきた。少し視線を後ろへ向かわせると、背後からは先ほどのムチが迫って来ているのがわかる。俺は正面から迫るムチを横へジャンプし避けた。そのまま、ムチを踏み台にして上へ高く飛び上がる。背後から迫ってきていたムチが俺が避け、踏み台にしたムチと衝突し絡み合った。
しかしそれだけでは終わらなかった。
「なにっ!? ――うわっ!」
ムチは絡み合ったまま空中にいる俺の方へと伸び、足に巻きついたのだ。そのままムチがしなり、俺を地面に叩きつけた。
「ぐっ、うぅぅ……」
突然の落下に受身を取るのが遅れ、右肩を盛大に打ってしまう。痛さで呻き声が口からこぼれ落ちる。
くっそ。痛みが強くて起き上がることすらままならない。
「あのヤロウ、盛大に叩きつけやがって」
途端、俺の体は引きずられ始めた。驚いて視線を植物人間の方に向かわせると、俺の足に巻きつくムチを引っ込めながら、新たなムチで俺を拘束しようとしていた。
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