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それは寄生していた体が発したのか、体に寄生していた《種子》が発したのか。おそらく《種子》が発する絶叫を寄生していた体が発したのだろう。拘束していたムチが瞬時に枯れ、俺は地面に落とされた。目の前でボロボロに枯れて崩れるツタと花。中から人間が出てきた。苗床及び養分になっていたことでミイラ状態になっていたが、男性用の鎧を着ていたのでそれが男だとわかった。
うつ伏せに倒れるミイラ。それをひっくり返す。鎧の胸元にある銀色に光るプレートが目に入った。
『HISATOSI HUKUDA』
ふくだひさとし、と名前が掘られていた。よくよく見るとこの鎧は政府公認の《市町村防衛騎士団》だ。
「そういえば最近、騎士団の全部隊が出動するほどの大規模的種子侵攻があったな」
今から約一ヶ月前のことだ。隣の県を様々な種類の《種子》たちが群れをなして襲った事件があった。《市町村防衛騎士団》の数ある部隊が全て出動するほどのこれまでにない大規模な戦闘だったと聞いた。撃退はしたが約九割の部隊がしばらく出動できないほどの大打撃を受ける被害があったとも。
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