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オーソドックスなものから、3色に変化していくもの、カラフルな火花を散らすもの、
「ははは、なんやコレ。花火なん!?」
腹を抱えてヘビ玉を指差す。
「日本にはホンマ色んなんがあるんやな!次はコレ!…どうするもんなんやろ」
「これはね、えーっと」
辺りを見渡し、ちょうど良い高さの枝に花火の端から出た紐を巻きつける。
「こうやって、火をつけて」
シュと勢いよく回り出したかと思えば、
星形の火花がキラキラと舞っていく。
「綺麗やな」
「うん、綺麗だね…ずっと見てたくなる」
「それはアカン」
「え?」
横に首を巡らせれば、真剣な面持ちで
「レイさんと見つめ合えへんのは困る」
「へ?えぇ?」
「レイさんは俺より花火の方が見てたいん?」
眉を下げ少し拗ねた表情のそれは
「もしかして、ヤキモチ妬いてる…?」
花火に。
「別に妬いてへんで」
「もう、皆奈ってば…」
答えるかわりにそっと口づけて、微笑む。
いつの間にか宙に舞っていた花火は音もなく消えていた。
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