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一限目は担任である桜井の国語。 どこかいつも肩の力が抜けている桜井は、あたしを見るなり苦笑した。 サングラスを少しだけズラして腫れあがったまぶたを桜井に見せると、力なくへらっと笑って見せる。 「佐々木、“また”失恋か?」 「先生、“また”が余計」 「冷えピタ、保健室にあると思う」 「うん」 すでにあたしに諦めているらしい桜井は、遅刻もサングラスも怒らなかった。 クラスの空気も「あ。またか」が漂っているし。
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