咲き誇るは朱刀

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朱く染まった刀。 返り血を浴びた自分。 目の前に広がる血みどろの動かぬ屍。 唯一この場に息ある者は自分と、もう直ぐ死ぬであろう敵一人だけ。 ふ、と口元を緩ませる。 「お、…………鬼ぃいぃぃ!!!!」 敵────男はそう叫びながら背を向け走り出す。逃がすまいと、刀を構えタタタタっ、と走り出す。 追い付いた。 ドスっ…… 刀は男の心の臓を貫いた。 つう、と血が滴る。 「あ”……ぁあ… ………くる、てるっゴフ………お”に」 血を口から吐き出し、鬼、という言葉を呟くと男は息を引き取った。 自分はにやり、と笑みを浮かべる。 「狂ってる?……今更」 刀を振り血を飛ばし、鞘にしまった。
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