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「落ちたの?」
「落ちたみたいね」
頭の中が真っ白になった。
「浪人か…」
落ちるとは思ってなかったから、予備校のパンフレットは全部捨ててしまっている。
ってことは一から予備校探しをしないと駄目か…と落胆していると、母さんが思いがけない台詞を口にした。
「並木学院大に行きなさい」
「えっ」
並木学院大学。名前くらいは知ってる。現に私もそこの法学部を受験している。
が、並木学院の所在地は私の自宅からはかなり離れた場所である。
そこに毎日通学しろと言うのは、ちょっと無理すぎるハナシであろう。
「まさか、母さん」
「そうね。あんた一人暮らしになるわね。まあ頑張りなさい」
そう言い残し、母さんは茫然とする私を放置してさっさと部屋を出ていった。
絶対、これは人生初の挫折だ。
第一志望校には落とされるわ自宅からは出されるわで、まさに踏んだり蹴ったりだ。
ああ、
これから4年間、どうしよう。
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