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「あなたは御存知ですか? 双頭の大魚の伝説を…」 「え…?」 「双頭の大魚とは… この地方に古くから伝わる伝説です。 其の昔 長い間床に伏していた若い男が… 大量の海水だけを部屋に残して 忽然と姿をくらましました。 其の数日後… 数里と離れていない海の沖で 地元の漁師が 二つの頭を持つ大魚を 見たというのです。 其の頭は 人の其れであり 若い女と… 伏していた若い男であったという… 信じがたいですが… 人伝に語り継がれ 今も尚 漁師達の間では伝説となっているという… あなたのお国は南でありましたね… 知らずとも…無理のない話しです…」 先生は其処まで語られて 長い嘆息を漏らされたのだった。
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