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呆然と佇む私に
先生は尚も続けられた。
「昨晩
私が代わりを託した助手の…
遺体が上がったのです…
あの海の浜辺で…
其の首は
まるで猛獣に食いちぎられたかのように…
根元からもぎ取られていたと…
そのために身元の確認に大分手を拱きましてね…
こうして此方に向かいましたが…
もはや為す術は…」
私は息を呑んだ。
唇が乾き
声にならぬ声に翻弄されながらも
真実を解き放たんと
震える指で先生の衣を力の限りに掴んだ。
「…其れは…
其れはもしや…」
「此方に伺った助手は…
妖力を得た大魚であったろうとお察しします…
否、そうとしか考えようがないのです。
あなたのだんなさまは…
今頃は…」
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