雪虫

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こうして床に伏してから どれほどの歳月をこの冬景色に映してきたであろうか。 気付けば雪虫は 私を纏い 揺れては濡らし また溶けゆく。 何故覚める 夢であっていい 覚めぬ夢を 見せてくれ そう願うにつけ 鼓膜を過ぎる其れは 寒々と横たわる大海の波が 虚しく岩肌を打ちつける 鈍く尖った音のみなのである。
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