雪虫
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「失礼致します」 ふいに襖が開かれる。 私は思わず息を呑んだ。 変わらぬ筈の部屋の様相を 見紛うなぞ誰が想像するだろうか。 しかし私は 己が目を疑うしかなかったのだ。 其処に膝をつく女の髪は 大海の水を含んだかのように 深い蒼色を湛えていた――
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