妄想②

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出会いは突然だった。 夜のようにひっそりとやってきて、気がついた頃には私は彼の中にいた。 夕暮れに間に会わなくて道を失った子供のように不安で、私は自分を必死で勇気づけた。 それでも彼は容赦なく神出鬼没で、その後も胸中が穏やかになることはほとんどなかった。 逃げても隠れても逃れられない。私にとって彼はまさに鬼同然だった。 彼は気がつくといつもそこにいた。 身元も明かさず、まるでずっといたでしょ、って顔をして。 彼と出会うとそこからの記憶が断片的になる。 気がつくと場所は変わり、手を引かれ、走らされ、やっと彼の顔をしっかり見たと思ったら消えていなくなっている。 ろくに話したこともない。 そうやって私は何度でも、指標もない闇の中に舞い戻されてしまう。 もがけども彼が現れてしまえば、私の努力と思いは意味をなさない。 再び私は迷える幼子になるのだ。
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