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あれは小学生にあがる前、いや、あがってすぐのときだっただろうか…どちらにしろ、俺にとっては思い出したくない過去だ。
『ねぇ、一緒に遊ばない?』
『お勉強、シよ?』
家にいても何もすることのなかった俺は、近所の公園の周りを散歩していた。お気に入りの散歩ルートだ。
清々しい気分で歩いていたら、2人組の男に声をかけられた。
一人は優男っぽく、もう一人はスキンヘッドの強面だった。
幼い俺にはよくわからなかった。でも、ついて行ってはいけない…本能的にそう感じていた。
『でもぼく、これからようじが…』
用事なんてないのに……俺は嘘をついて逃げようとした。しかし、そう簡単に逃がしてはくれなかった。
『いいじゃん、悪いようにしないよ?』
そう言うや否や2人の男に無理やり連れて行かれた。
案の定、悪い予感は的中した。
個室に俺を閉じこめると、狂ったような目をこちらに向けてくる2人。それははまるで……飢えている獣だった……
怖かった。怖すぎて泣き叫んでいたこと以外、よく覚えていない。
気づけば俺はどこかの施設にいた。警察官が保護してくれたらしい。俺は、死んだような目をしていたと、あとで警察の人から聞いた。
2人の男は無事逮捕された。幼児強姦犯だったらしい。
親族がいなかった俺は、そのままその施設で育てられることになった。
そして俺は、心を閉ざした。
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