プロローグ

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シャナの家族はアストバーナ大陸の東にある大国、セザール王国の町外れに小さな家を建てて暮らしていた。 父はいつも朝早く町に出稼ぎに行くので家を留守にすることが多いが、久し振りに今日の夜に帰ってくると知らせが届いた。なので、母と一緒にお祝いしようと、ご馳走を作る為に山に作物を収穫しに来たのだ。 「お母様の手…温かい」 白く滑らかな肌。綺麗な黒色の長い髪に、微かに花の香りが漂う綺麗で優しい母が、シャナは大好きで仕方なかった。 「シャナね、お父様が帰ってきたら剣術教えてもらうの!」 勿論、父も尊敬してやまない大切な人だ。剣術の腕は最早達人と言っても良いほど強い。いつか自分も父のように立派な人になりたいと秘かに願っていた。 そんな父と母はこの世で一番大切な人と言ってもいいくらいに愛し合っている。二人の仲の良い光景を見るのがシャナにとって誇らしい光景だった。
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