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「こんな夜中に危ないわ……帰ってこないのはいつもじゃない。きっと大丈夫よ」
母はそう言って半泣きのシャナを慰めるが、心は晴れなかった。折角、美味しいご馳走を作って待っていたのに父が居ないのなら意味がない。
それに、帰って来ると連絡が来たのに遅くなるなんてことは初めてだった。
「やっぱりシャナ…お父様、探してくる」
とうとう我慢できなくなり、探しに行こうと靴を履こうとした瞬間――取り上げられた。
「駄目だって………。今日はもう寝よ?私も一緒にいてあげるから」
「お母様も一緒に?」
「ええ。……シャナが行ってもなにもならないわ?きっとお父さんが遅れているのには事情があるはずよ…」
父のことも気になるが、確かに自分が行っても父の役に立つのだろうか。
「………うん、分かった」
シャナは渋渋とだが母と寝ることに決めた。
密着した体から母の体温が伝わってくる。
――――暖かい。
ずっとこの温もりは忘れることはないだろう。
朝から山に行っていた所為か、流石に疲れていたようでシャナは直ぐに深い眠りについてしまった。
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