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―――時刻は草木も眠る真夜中。
騒がしい音が聞こえ、シャナは眠い目を擦った。辺りを見渡すが、真っ暗でなにも見えない。すると、隣で一緒に寝た母の姿がないことに気づいた。
「お母さん…いるの?」
不安になり、草で編んであるベッドから飛び降りたシャナは、音がした方に歩いていく。
向こうの部屋から父と母の言い争う声が耳に入ってきた。
良かった。父は無事に帰ってきてくれた。
シャナが安心したのも束の間、花瓶がガシャンと割れる音が聞こえる。どうかしたのだろうか?
シャナは少しだけ開いた扉の隙間から様子を見ることにした。
「…………っ!」
すると銀の鎧を着た大勢の男らが父と母を中心に取り囲む映像が目に飛び込む。
「獣人は皆、奴隷にせよとのカトリッシュ王のご命令だ。女、貴様を連行する。」
蹲っている母が銀の槍を突きつけられている光景をシャナはその場から一歩も動けずに、ただ呆然するしかできない。
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