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あの、夜分遅くにすみません。
私を助けるものと思って、何も言わずに一晩、泊めていただけないでしょうか。
はい。もちろん、貴方もこんな小娘を一人きり、家に招き入れるなんて困ってしまうでしょう。
ですが、貴方に断られてしまっては、他に行く宛てが無いのです。
……それは。はい、その通りです。
わたしは、この上の階の部屋に住む者でございます。
お互いに面識が無いのも、承知の上です。
でも、わたし、怖くって……。
そう、怖いんです。
貴方さえ一言、うんとおっしゃって下されば、私はすぐにでもこの恐怖から解放されるのに。
だから、どうか……!
……やっぱり、理由を話さなければ、ダメですか?
でも、きっと後悔なさると思いますよ?
それでも、聞きたいのでしたら……では。
実は、私のマンションの部屋の前に、……『いた』んです。
待って! 待って、切らないで下さい!
分かっています。貴方も、関わりたくないことぐらいは! もちろん、承知の上ですから……!
でも、まだ『アレ』は、私には気付いていないみたいなのです。
だから、今晩一晩だけ貴方の家に泊まって、明日の朝、何食わぬ顔で帰ったのならば……。
そうです、きっと大丈夫なはずなのです。
だから、どうか……!
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