『初めての学園生活』

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魔法薬学の教室には俺たち以外全員集まっていたようだ、俺とメロメディアも授業で使う鍋やお玉を準備し、席に座る。 先生が来るまで俺とメロメディアは何故か、どちらが一番脱力しているかということを競っていた。 教室の扉が開くと、腰が少し曲がった老人が入ってきた、怪しげな黒いローブに身を包み、ジャラジャラと装飾品をつけている、入ってきた老人はアーカイブ先生と呼ばれ、先生も挨拶を返していた、まあ声を聞く限り男なんだが。 「えー、皆さんおはようございます。今日は皆さんに惚れ薬を作って貰います。簡単に作れるものなので安心して下さい、惚れ薬といっても相手に好意を持たせるわけではなく、もともと好意を持っている相手でないと、使用したときに嫌われる可能性がありますので注意して下さい。仕上げに自分の髪を入れて、それを相手に飲ませて下さい。それでは材料を渡しますね」 アーカイブ先生から渡させたのは、ペースポーションという薬草などの効果を高める液体と薬草が五つ、魔物の体液が一つだ、体液は……いや言わないでおこう。 教科書を見ながらの作業だ。 魔法薬とは自分の魔力を使い火の調整をしながら、作っていくものなのだが、少しの温度の違いで変質したりするので集中力はかなり必要なものである。 俺は自分の作業をしながら、メロメディアの方を見ると、薬草を切る作業だけでかなり手間取っているようだ、包丁を両手で握り、薬草をこれでもかという勢いで叩いている。 俺の惚れ薬が完成するころには、メロメディアはダークマターを作っていた、悪臭を放つドブ色の液体、明らかに失敗している、魔法薬は成功すると必ず透明になるのが特徴である、決してドブ色になんかならない。 「ねー、コウスケー、これ飲んでみて!」 何故俺にダークマターをすすめるんだ!明らかに失敗しているものを飲ませようとするとは……、メロメディアは何を考えてるんだ。 「い、いや、それ明らかに失敗してるだろ」 「僕的には成功なの!コウスケには僕を好きになってほしいから飲んで!」 俺が顔を背けようとしたときに、メロメディアは俺の口に失敗作を流し込んできた。
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