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夏場に三日間放置された生魚の臭いに、ゴミ捨て場の臭いが混ざり、食感はドロドロの中に溶けきっていない繊維が絡みつき、タイヤグミが凝縮されたような味がする。
人が沢山いる中で吐くわけにいかないわけで、俺は涙目になりながら飲み込んだ。
俺は怒りに任せ、メロメディアの頭を殴った。
「痛ーい。何するのさ!」
「何するのさ?それはこっちのセリフだ!失敗作を俺に飲ませるな!」
「成功してるもん、僕頑張ったし」
笑顔で俺を見つめてくる、ところを見るとメロメディアには悪気は無いのだろう、というか反省していない。
「もう、知らん……」
俺は自分の作った惚れ薬を渡されていた小瓶に詰めていく、終わったころにメロメディアの方を見るとメロメディアは泣いていた。
「おい、何泣いてるんだ?」
「だって、コウスケ僕のこと嫌いになっちゃったんでしょ?さっきから声掛けても全然反応してくれないし、さっき僕のこと怒ったし……」
男が男に泣き顔見せるのはどうかと思うな。
仕方ない、機嫌治すように頑張ってみるか。
「あのな、俺は自分の作業に集中していただけだ、さっき怒ったのは失敗したものを俺に飲ませたからだ、魔法薬ってのは下手をしたら死者まで出るんだぞ?明らかに失敗したものを人に飲ませるってのはどうぞ死んでくださいって言ってるようなものだ。わかったかメロメディア、やったらダメなことだったんだぞ」
メロメディアの顔色がどんどん悪くなっていく。
「コウスケごめん、そんなに大変なものだって知らなかったんだよ、ごめんなさい。嫌いにならないで……」
「分かってくれたならいいんだ、ほら、新しく作り直すぞ。鍋洗ってこい、な?」
俺はメロメディアの頭を撫で安心させる為に笑顔を向けた。
泣いていたメロメディアはすぐに泣き止み、笑顔で鍋を洗いに行ったのだが、途中で鍋を落として中の物を撒き散らし先生に怒られていたっていう。
あーあー、なんで男相手に笑顔で対応してんだかな、俺……。
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