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ダルイ先生が俺らの名前を呼ぶ、俺らは観客席から向かう。
俺は気が進まなかった、いや、怖いからやりたくないだけなんだけど。
「コウスケ、メロメディア正々堂々戦えよ。始め!」
ダルイ先生はそれだけ言うと客席に通じる通路から俺たちを見ている、そこにも結界が張ってあるから、安全なんだよな。
メロメディアと俺の距離は20メートル程だ、魔法なら距離はあんまり関係ないけどな。
「コウスケ、僕から行くよ。ダークボール!」
メロメディアの頭上に直径50センチくらいの黒い玉が30個ほど浮いている。
「詠唱破棄に多重展開か……」
詠唱とは魔法を構築する上で不可欠だが、詠唱破棄てのは魔法がなんたるかを理解しているものは魔法名だけで魔法を発動できることだ、魔法に対してかなりの知識が必要になるが、言動から見るにメロメディアはかなり若く感じるんだよな……詠唱破棄できてるしそれだけ勉強したってことか。
多重展開は魔法を一度の詠唱で複数発動しているときを指す、発動する魔法が多いほどコントロールが難しくなる、30個も魔法を出せば全てに意識を向けていないとあらぬ方に飛んでしまったりするのだが、上空に保ってられるってことはコントロールできてるってことだろう。
身体強化しておくか。
「メロメディア詠唱破棄に多重展開もできるなんて、凄いな」
「でしょでしょ?じゃあ、コウスケが何をできるか見せてよね!」
メロメディアが操作し10個ほどのダークボールが、俺に向かって飛んでくる。
俺は身体強化をしているので、避けようとしたら、真っ直ぐ飛んできていたダークボールが方向を変え、俺を追尾してきた、俺はダークボールがメロメディアのコントロールを離れたものだと認識していたため、10個のダークボールをもろに受けてしまった。
10個共当たった俺は5メートル程吹き飛ばされ、背中から落ちた。
俺は背中から落ちたよりも、ダークボールを腹に受けた痛みで起き上がれずにいた、俺は腹を押さえて見ると血がべっとりと付着している。
魔法を解除して慌てて走ってくるメロメディアとダルイ先生の姿を見た気がしたが、俺は意識を手放した。
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