『始まり』

5/12

32人が本棚に入れています
本棚に追加
/30ページ
「ユリアー、早いですよー」 「呼び捨てにしないで下さい!」 「俺はMではないので、そんな目で見ないで下さい。凄く傷つきますー」 なんとも棒読みな感じで俺は言うもので、ユリアはイライラしているようだ。 「ところで、ユリア。君は制服を着ているように見えるのですが、学生なんですか?」 ユリアは赤と黒の制服を着ている、ネクタイも赤で、胸にはバッジをつけている。 「コウスケさんには、関係無いことだと思いますが?」 「いや、学生ならユリアから言って俺も通えないかなーとか思ったりしまして」 「コウスケさんは学園に通ったこと無いんですか?」 「無いですね、ここに来たのも初めてなんですよ」 「分かりました。先生に話してみます。学園まで行くのでついてきて下さい」 「了解しました。よろしくお願いします」 俺は笑顔で言ってみたが、ユリアには逆効果なのか、早足で先に行ってしまった、俺は仕方なく後を追いかけた。 しばらくすると、街の門が見えた、門は高さが10メートルある、門は開いており夜なので人通りは少ないが兵士がいる。 ユリアは兵士に近づいていった。 「兵士さん遅くまで、お疲れ様です」 「ユリアちゃんもお疲れ様、ギルドの用事かな?」 「はい、今日は単独で依頼を成功させないといけなかったんです。薬草摘みだったんですけど、ちょっとゴタゴタで遅くなってしまいました」 「ゴタゴタとは何かあったのかい?」 「男の人に襲われて……」 「ユリアちゃん、何もされなかった!?」 「はい、この人に助けて貰ったので……」 ユリアが俺の方を見つめる、暗闇で見えづらかったのか兵士は今俺に気がついたようだ。
/30ページ

最初のコメントを投稿しよう!

32人が本棚に入れています
本棚に追加