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梵天> さっさと帰れ
大太、君には 構っていられない
鼻で嘲笑うと 肩を小さく震わせる
以前より 断然面白い 反応をしてくれる
これで 二度と 危険人物とは 会わなくなり
私の安全確保 一石二鳥
感激して 喜んでいると
フッと 顔を上げる 璃久徒
その顔を見て 絶句する
璃久徒> 名前 覚えてくれたんだね
ありがと
子供らしい 満面に輝く笑顔で 答える
その笑顔に また苛立つ
けれど 心の奥底では 気づかないだけで
私は 嬉しかった
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______
_________
そして数年間
彼は毎日 私に会いに来た
何度も 追い返そうとしたが 笑顔でスルーされた
友達すら 居なかった私は 毎日が楽しみだった
彼が来るまでは 一分一秒が 長く感じて
つまらない雑談は 楽しい気持ちでいっぱいで
帰りは 名残惜しい気持ちになり
暗い夜は 今日の思い出と 明日の希望で 胸を馳せた
一日一日が 輝いていて 幸せで
あっという間に時が過ぎる日々
同時に 人を呪い 殺し 不幸にしてきた私が
こんなに幸せで良いのか?
もて遊ばれてるのでは?
そんな 底知れない不安に 襲われた
中学生に なった時
その不安は 次第に膨らんでいった
しだいに その不安は いつも
脳裏を駆け巡る程まで 重々しくなっていた
そして その不安は 段々的中していく事になる
彼は 6歳も年上、私と毎日一緒にいるので
周りの友達は 次第に彼から消えていったのだ
彼の隣にいるのは私だけ いつの間にか
私は罪と言う名の 十字架を 背負っていたのだ
彼も私に似て 人間を拒絶して 生きてきた
だからだろうか 似た者同士
同盟を組んでいたのかもしれない
ただ 疎まれる人間である現実に
まだ大丈夫 彼がいる
そんな思いで 逃げてきただけかもしれない
きっと彼も 同じだろう
人に親切にして 奉公しあって 信頼感を作って
一人でも 好かれる人間になって
次第に 沢山の人から好かれるようになって……
そんな人間に ならなくては いけないのに
変わらなきゃ 変えなきゃいけないのに
二人揃って 解らない 知らない 経験したことない
現実に 恐怖してしまっているのだ
口だけは 一人が好きだと 強がってきたが
体力も 精神も 思考も 誰よりも劣らないが
実は 弱腰の 誰よりも弱い人間だったのだ
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