突然の別れ

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それから、どちらからともなく殴り合いを始めた。勿論、いじめっ子達を無視して。 バコッ!バコッ! 「何無視してんだよ!」といういじめっ子達の声も聞こえたが今はそんな事どうでもよくて。 少年から殴られたら俺も殴り返す。蹴られたら蹴り返す。 喧嘩してるはずなのに、何故か楽しかった。 やがて、二人共力尽き―――。 「なかなかやるな」 「お前もな」 なんて、少年漫画でよくありそうなベタな展開で俺たちは仲良くなった。 アイツは本名を教えてくれなくて、お互いあだ名同士で呼び合っていた。 俺は小鷹だったから『タカ』という風に名乗っていたが、アイツの名前が10年経った今ではどうしても思い出せなかった。    だが、別れは突然だった。 俺は父親の仕事の都合で地方への引越しが決まり、この地を離れることになった。 最初は「すぐに言おう」と思っていたものの、遊んでいる時間が本当に楽しくて、 引越しまで1ヶ月になっても、3週間になっても、1週間前になっても、言い出せなかった。 ついには、引越し前日になってしまった。
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