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紅玉都市が焦土.....
故郷の紅玉都市はその名の通り宝石で有名な都市だ
世界的に有名な宝玉"紅色睡蓮"が掘り出された都市だ
紅玉睡蓮は古の女神の名を冠した大粒のルビー
持つものに美と力を与える"失われた遺産"の一つとも言われる
他にもエメラルド、ダイヤ、サファイアの遺産もあるがこれはいいだろう
「紅玉都市は興国が成り上がって行くための資金源として征服、その後興国はルビーを掘り尽くしたあとそこを焦土と変えた」
ルビは都市としては小さいものだった
宝玉を輸出し、資金は潤沢にあったため不自由はなかった
しかし、戦力は別だ
皆無といっていい
なぜなら近くに国はなく、あっても貧弱な興国のみ
興国も資金をルビからもらっていたために強くは出られなかった
そのため戦力はいらないと判断されたのだ
「父さん..母さん...アリエル....」
「征服時に住民は皆死んだのが確認されている」
不意に頭を撫でられる
先ほど膝を貸してくれた女性
慰めてくれているのだろう
暖かかったが、心は冷たかった
家族、父と母と妹
四人の幸福な家庭だったと思う
帝国に士官し、そのあとは会ってない
そうか
もう、ないのか
あの家も、家族も
「気の毒だが、事実だ。勿論、俺はそんな境遇だからお前を雇うっていうんじゃない」
「ウル!」
女性が男、ウルというのだろうか、たしなめる
ウルは気にした様子もなく淡々と言葉を重ねる
「興国へ復讐を手伝うってお人好しでもない。もしかしたら俺たちが雇われるかもしれんしな」
「じゃあ何だっていうんだよ!」
俺は声を荒げる
この男がわからない
仲間になれだ、故郷はないだと勝手に言ってくれる
ウルを睨むと、奴は笑った
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