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「――俺が帰国する直前に、向こうでフィールドワークして探してた『ビトル』とか『シュトリ』って呼ばれてた翼のある黒豹ってのは…オマエの事なんだな?」
「もー指差さないでよ。――竹兄気が付くの遅すぎ。そうそう、それ多分全部俺だよ?」
「どういうコトですかタケオカさん」
どうするのよ。エルまで喰いついちゃったじゃない。
「――覚えてるでしょ、エル。丁度俺が…魔方陣の応召してたピーク時期だよ」
「ああ…」
カルナバルパンドラで本来の黒豹の姿に変化して、エルと雌雄を決した夜の事を思い出す度に。
あの時の腹の傷はまだ、ほんの少しだけど未だに疼く。
基本はいい加減そうなタケオカ教授が、研究者モードとばかりに表情を突然きりりと引き締めながら。
「俺が日本に帰ってくる直前だから今年の7月から8月にかけて。世界中で目撃例が相次いだUMAだ。――そうか。初めは何頭も居るのかと思ってたけどそういう訳じゃあなくて。全部ニノマエ一人の仕業だったのか…――っていうか。『悪魔』って良く考えたらそもそも『生物』なのか?」
「もー。此処でそんなメンドクサイ議論に付き合う気はサラサラないからね?竹兄」
「なぁニノマエ…一回でイイから俺にその『黒豹』見せてくれよ」
「ヤダよ。俺はもう二度と、変化はしないって誓ったの。――それにアナタ以前、シトリーを生け捕りし損ねて殺したら、ホルマリン漬けか剥製にして研究してやるって息まいてたじゃない。そんなコト直に聞かされた当人が『ハイハイどうぞ』なんて見せる訳ないでしょ」
「アレはホラ…まさかオマエがその『シュトリ』とか『ビトル』だとは思わなかったから…」
「俺だと解ってたら捕まえないって?――信じられないでしょ。変態研究者にカラダを弄ばれるなんて絶対イヤ!!」
小野ちゃんにまで『にののはく製』なんて言われて笑われたんだから。
「人に向かって変態って失礼だろ!!」
今まで『痕跡』しか見たコト無かったUMAが目の前で拝めるってのに…と悔しがる竹兄に。
「『謎の未確認動物』じゃなくて俺は『悪魔』だから」
「じゃあ『天使』のコノイト君は何か変身したりするのか?」
なんて。今度はあろうことかエルに興味を持っちゃった。
「あのね――エルに何かしたら…竹兄でも俺が容赦しないよ?」
見たでしょさっきの俺の得物…。あれでぶつ切りにしちゃうからね?
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